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早い時間に帰って来たあたしに両親は驚いた顔をしていた。


そんな両親に適当に返事をして二階へ向かう。


写真を確認するなら、明るいうちがいい。


暗くなってから確認して、もし同じようなモヤが浮かんできていたら、あたしこそ眠れなくなってしまうだろう。


「もう、なんであたしがこんなこと……」


ブツブツと文句を言うのは、気分を紛らわせるためだ。


なにか言っていないと、憂鬱と恐怖で胸が押しつぶされてしまいそうだ。


机の前に立ち、何度も深呼吸をする。


引き出しを開けるだけでこんなに緊張するのは、生まれて初めてのことかもしれない。


勇気を出して一気に引き出しを開ける。


そこには無造作に突っ込まれた写真があった。


あまり見たくないと思い、引き出しに入れてすぐ閉めたからシワになっている。


あたしは恐る恐る写真を手に取った。


愛子が指さしていた右上を確認する。


そして「あぁ……」と、口から空気が抜けて行った。


愛子に見せてもらったのと同じようなモヤが、あたしの写真にも浮かんできていたのだった……。