ケータイ小説 野いちご

瞬間、和夫らしくなく整った綺麗な部屋が見えた。


6畳ほどの部屋に勉強机と小さなテーブルと、ベッドと本棚が置いてある。


本棚にはギッシリと漫画本が詰め込まれている。


「あぁ……来たのか」


ベッドからそんな声が聞こえて来て見ると、和夫がうっすらと目をあけてあたしたちを見ていた。


「悪い。起こしたか?」


渉がベッドの横にしゃがみ込んでそう聞いた。


「いや、平気だ」


そう返事をする和夫の声はガラガラだ。


顔色も随分と悪い。


こんなに弱っている和夫を見るのは初めてで、どう声をかけていいのかわからなくなってしまった。


あたしは愛子と目を見交わせる。


愛子もつらそうな表情を浮かべているだけだった。


「これ、フルーツと栄養ドリンク。食べられそうだったら食べてくれ」


渉がそう言い、コンビニの袋をテーブルに置いた。


「あぁ……ありがとう」


『ありがとう』を言い終わる前にせき込む和夫。


あたしは咄嗟に和夫から離れてしまった。


こんなひどい風邪にうつってしまったら大変だ。

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