ずしんと頭に重みを感じて斜め上を見上げれば、逢坂 湊が私の頭に手を乗せていた。


「結愛」

「何?」

ジィっと凝視されて、僅かながら心拍数が上がる。

「…何でもない」


何だそれ。

逢坂 湊は何もなかったようにソファーに腰掛け、雑誌を開く。


さっきの、何だったの…。気になるじゃないか。

胸の中に言葉に出来ない寂寥が広がった。


息詰まるようなこの感覚。

苦しいのに嫌いになれない。




───私って、ちょっとオカシイのかも。