ケータイ小説 野いちご

零度の華 Ⅰ


準備をするにはまだ早い時間だ


燕(スワロー)が去り、再び二人だけの空間が広がる




「狼(ロウ)」






あたしの名を雲雀が呼ぶ







『何でしょうか、ボス』




雲雀のもとへゆっくりと歩いて近づく


必然的にあたしが雲雀を見下ろす形になる




「俺は一つ、お前に聞きたいことがある。ずっと疑問に思っていたことだ」


『それはなんですか?』




緊迫した空気が漂う



真剣な眼差しで思いつめた瞳(め)


気怠さを覚えながらも、その瞳(め)と向かい合う




「なぜ、俺だった?なぜ、ここに座ろうとしなかった」





あたしは今の場所を離れ、ソファーへと座る


一つの息を大きく吐いた




『そんなことか』


「俺にはそんなことじゃねぇ」




あたしは雲雀に目を合わせることなく淡々と話しを進める











< 198/ 332 >