「ん……」


 窓から聞こえる車の走行音ををやたらと煩く感じて、俺は目を覚ました。

 俺はどうやら、あづを運んだ後、安心したのか、いつの間にかベッドに頭を突っ伏して寝てしまっていたらしい。


 窓からは満月が見えて、今は夜なのがわかった。


「……あづ?」
 あづに満月が見えるって教えてやろうと思い、俺はあづを呼んだ。


 しかし、声は返ってこなかった。


 不審に思った俺は、ゆっくりと、ベッドの掛け布団をめくった。

 するとそこに、あづはいなかった。

「あづ?  あいつ、どこ行きやがった!?」

 俺は慌てて携帯を持って部屋を出て、キッチンに行った。でも、そこにもあづはいなかった。


 ふと、俺は携帯にあづからの留守電が残されているのに気づいて、慌ててそれを開いた。



《潤、…ごめん。
やっぱ俺、亜空のみんなとかお前に
合わせる顔も、会う勇気もない。
今日はありがと。
頼むから……もう探さないでくれ》


「は?」


 携帯からは、今一番聞きたくなかった言葉が
聞こえた。



 ——冗談だろ?


 あいつ、ふざけんなよっ!!