そう思って踵を返し別の道から部屋に戻ろうとした時、話の続きが耳に入ってきた。




「ハハッ、あれがお姫さま?ほんと笑っちゃうわ」




吹き出すような笑い声と共に聞こえてきた言葉。
お姫さまって、私の事・・・だよね。



「少し前からこっそり覗いていたんだけどね、ダンスどころかヒールで歩くことすらできないのよ」

「なにそれ、ダサくない?」

「でしょう?おかしいから私、ワザと無様に転んで這いつくばってる時に入ってやったのよ」

「わ~、悪いやつ」




ケラケラとおかしそうに笑う声。
あれ・・・ワザとだったんだ。

ヒールでろくに歩けもしない私を、笑ってたんだ。




「マナーもダンスも、教養もなにもないあんなパッと出の女がお姫様になれるなんて、どうかしてるわよね」

「ほんと。王さまの血を引いてるなんて話も本当なんだか」

「そうよ。異世界だかなんだか知らないけど、年齢が合わないじゃない。あれで納得しろって方が無理な話よね」