「レイ!」


聞き間違いじゃなかった。




私の瞳に写ったのは、セーヌ川の乗り場の前に立つアランの姿だった。



さっきまでの店員さんの格好じゃなく、普段のアランの服装なのだろう。



その立ち姿のかっこよさに、私の胸は張り裂けそうだった。



ベージュのニット帽に、茶色の革ジャン。

首には、黒のマフラー。



Gパンのポケットに片手を入れたアランが、もう片方の手を高く上げた。





一瞬でも軽い人だと思ってしまった自分が恥ずかしい。


アランは、思った通りの人だった。




純粋で・・・


誠実な人。