私の命なんて。
私は必要ない。

ジルたちだって、別に“私”が必要なわけじゃない。
そうでしょう?




「放して!もう嫌なの!独りぼっちはもう嫌だ!」

「一人になんてしません!我々がいるでしょう!」





違う。だって、違う。
私はお姫様になりたいわけじゃない。
お姫様になりたくない私なんて、必要ないんでしょう?




「いやだ!放してよぉ!お母さんたちのところに・・・行きたいの!」





そのために私は。
そのつもりで私は。




「・・・あいさつに来いって言われてき・・・って、何やってんだ!?」




誰かの声。
必死に私は腕から逃れたくて。
それでもジルは放してなんかくれなくて。

それでもジルの顔は苦痛にゆがんでいて、時間の問題のようだった。
諦めてくれていい。
放してくれていいのに。