「これ取り終わった草はどうすんの?」

なんだかんだ文句を言いながら体力だけは熊のようにあるから、須賀のビニール袋は草でパンパンになっていた。


「先生の話聞いてなかったの?燃えるゴミは南側と西側の焼却炉を使えって」

ここからだと西側のほうが近い。


「じゃあ、もう持って行こうぜ。これだけ取れば十分だろ」

「行くならついでに私のも持ってってよ」

「は?場所はお前が案内するんだよ」


また面倒くさいパターン。

本当に水泳以外になにも頭に入ってないんだから。


「はあ……」

焼却炉に向かいながらずっとため息が止まらない。

校内の窓からは掃除している生徒たちがよく見えて、校内は快適そうで羨ましい……。


「間宮って歩くの遅くね?」

だったら先に行ってくれてもいいんですけどって、場所が分からないんだっけ。本当にもう……。


「もしかして重いの?」

「当たり前でしょ」

一本の草なんて石ころよりも遥かに軽いのに、それがビニール袋いっぱいになると引きずりたくなるほど重い。

須賀は余裕な顔をして片手で自分の分を持ってるけど、私なんて両手だよ。しかも持ちづらくて手が痛い……。


「あーそっか。わりぃ。気づかなかった」

須賀は私のビニール袋をひょいっと持ち上げた。


……え?な、なに?持ってくれるの?

そんな気遣いなんてできるヤツじゃないと思ってたから、なんか……なんかさ……。


「ほら、早く行くぞ」

ふたつのビニール袋を持った須賀は立ち止まっている私を見て呼んでいた。