そういえば小学校の低学年の時に地域の水泳大会で海斗が１位をとったことがあった。

その日は家族みんなでお寿司を食べにいって盛大にお祝いして。

表彰台に立つ喜び。タッチの差で決まる順位。

きっとあの時から海斗は水泳の魅力に惹かれていた。

あの大会でもらったトロフィーと賞状は今も海斗の部屋に置いてある。


これからもっとたくさんの大会に出て、部屋をトロフィーやメダルでいっぱいにするんだって笑ってた。

その叶わなかった夢の続きを現在進行形で叶えようとしている人がいる。

皮肉にもそこへ向かっているなんて……本当に逃亡してしまおうか。


空にはジリジリと燃えるように暑い太陽。

水泳日和なんて言葉はないけど、水の中に飛び込むには絶好の日。


早く夏なんて終わればいいのに。

そう思ってる自分が浅はかで笑えた。


夏が終われば少しは気持ちが軽くなるって？

そんなはずはない。

このもどかしい気持ちを夏の暑さのせいにして、私は許されたいだけだ。