もう秒数まで話すことについては
なにも言わないでおこう。



「7:10か。少し遅いな。」



私の起床時間は大体6:50か7:00だからな。


いや、平均的にはどちらも早いんだが。


「で、何の用だ?」


私はベッドへ横になったままそう尋ねた。



「そろそろ起きられる時間かと
思いましたので、お召し物とお顔を
洗うための水を持ってまいりました。」



「そういうことか、それはご苦労。
…ん?なんでお前が?

セーラとアルトはなぜ来ない?」



通常、女主人やその娘は、女の使用人が
着替えなどの面倒を見る。


はずだ。



「あの二人は
エルンの料理を手伝っています。

クルトとキルトはテーブルの用意中です。」



早速溶け込んでるな。


私なんか使用人の名前を覚えるのに
三日は掛かったのに。



「ヴィル爺は?」



「すべて言うと切りがないのですが…。」



かなり面倒臭そうな
声でシリウスは言った。


恐らく顔もわざとらしく面倒臭そうに
しているのだろうが、

私の体はまだベットにくっついているから
わからない。



「もういい。分かった。

シリウス、
セーラかアルトのどちらかと変われ。

着替えができん。」



「ですからわたくしがお嬢様の
お着替えを__」



「やらせない。

お前な、いくら執事でも女主人の着替えを
手伝うとか論外だぞ?」