「裕てさ良いよね」守は、組織の中でも脱走者が出ないようにみはるプロテクターという任務についていた。「そうか、俺はお前が羨ましいよ。血とか苦ってなんだよな。なんか、モヤモヤするんだ」裕と守がいたのは二人だけの秘密基地的な組織の人々専用のマンションの屋上。「おーい、二人とも」下から声がした。二人の親代わりの舞稀誠は、元幹部だ今は、組織から離されていた。その理由は、誠が大怪我を負ったことだった。「誠さん。どうしたんですか」守が、先に応答した。誠は、大きな鞄を持っていた。「見つかったんだよ。俺みたいなやつでも好きでいてくれる人。」誠は結婚を機に組織から破門されたのだ。「最後の挨拶に来たんだ」誠は、松葉杖をついていない方の手で守を抱くと鞄を持ってマンションを出た。「守、もう行ったか」裕は、そう言うと下に降りて来た。「結婚か…よく組織も認めたよね」「実は認めてなかったみたいだよ。でも、相手の父親が警視庁のお偉いさんみたいで組織も認めるしかなかったんだって」二人はそんな話をしながら、空になった誠の部屋に入った。「寂しいな」「早く行かないとダメじゃないか。今日任務当日だろ」守は、裕を部屋から出した。「行ってくるな」裕は、そう呟くとマンションを出た。
会議室に入ると、今回の任務に必要な6人がもうそこにいた。車を運転する夏暗(ドライバー)、ターゲットを呼び出す鍵(リング)、見つかった時身代わりになる山鍵(かべ)、ターゲットの後始末をする崖(バッカー)、プロテクターの坂道、監視/指示をする幹部の刑斗。「やっと来たか。じゃー、もう一回確認する。ターゲットは、敵組織幹部、佐々木の妹みき。で、みんなの仕事は、ドライバーお前は307をリングが呼び出したターゲットのいる駅まで連れて来てくれ。リングは佐々木の友人のふりをしてろ、かべは待機、バッカーは用意してろ、後は、307何やるかわかってんだろうな、プロテクター監視カメラでみんなを監視してろ。」みんな頷くと自分たちの仕事に取り掛かった。
裕は、夏暗に連れられて駐車場に来た。「307だっけ」夏暗は、車に乗ると言った。「そうですけど」「俺の親友の弟がお世話になってるみたいだな」「え?」「守だよ。俺の親友さ。殺されたんだよな。お前も良く知る人物に」夏クラは小声で呟くと用意されている小型マイクとイヤフォンを付けた。そこから、完璧に計画は進んでいた。しかし、裕だけは徐々に無気力になっていった。気づいてしまったのだみきの真実そして夏暗の計画。みきは、何も知らなかったのだ。そして、夏暗はこの仕事を終えたら組織に復讐して自ら命を絶とうと考えていること。そして、自分が二人を救おうと考えていることつまり、裏切り者になろうとしていること。