無駄にシャワーを頭から浴び続けるのもそろそろやめよう。


心を無にして風呂を出た。


髪を拭きながらリビングにいくと、芙祐はスマホをいじりながらソファに座っている。



「風呂ありがと」


「えー、はやすぎない?」



って、芙祐がすぐに俺のところまで来た。



「ヤヨいい匂い」


そう言うと、俺が首にかけてたタオルを芙祐が取り上げ、


ニコニコしながら俺の髪を拭いてくる。



……まつげ、長。

じゃなくて、
近いから。



「いいって、やめろ」



タオルを奪い取って、悪魔から数歩逃げた。



「むー。まぁいいや。あたしもお風呂入ってくる。覗かないでね」



「誰が覗くか」



「ひど」



いやひどくないだろ。



芙祐が、リビングから出ようとドアに手をかけたと思ったら、


「あ。忘れ物した」


と踵を返した。



俺が振り向いたと同時に唇を奪われる。



「……っ。いきなりなんだよ」



「ヤヨ不足」


「なんだそれ」


「あとでいっぱいしようね」



って言って、風呂に行った。



ーーーっ。



絶対悪魔。



人を翻弄するために生まれてきただろあいつ。