黙り込んでしまったシェリルはやはり帰りも窓の外をじっと見ていた。


しかし同じにして景色を見ているが、行きの嬉しそうな表情とは打って変わって悲しそうだった。


しまいには俯いてしまった。


そこへ馬車が静かに止まった。


もうお屋敷に着いてしまったのかとシェリルはレオンを見る。


「君の希望通り倒れていた場所だ」


「レオン様……あ、ありがとうございます」


「礼は良い」


レオンは再び軽々とシェリルを抱き上げた。


あの時はもっと遅い真夜中だった為、街灯の灯りは少なかった。


今夜はまだ宵の口、辺りの店には煌々(こうこう)と灯りが灯されていた。