その提案を聞いたとき、もちろんわたしもそうだったけれど、どうやったらもっと自分たちの写真を見てくれる人が増えるんだろうと頭を抱えている部長と副部長には、美遥先輩の提案は、まさに目からうろこだった。

『それだよ美遥!』と目を輝かせた悠仁先輩は、さっそく秋人先輩とともに学祭実行委員会や学校に掛け合い、学校中の壁を写真展示に使わせてもらえるよう、大急ぎでその許可を勝ち取った。

というわけで、クラスのほうの準備にはなかなか加われなかったのだけれど――。


「亜湖、教室が教室じゃないみたいになってる……」


学祭前日を迎え、今まではパーツごとだったものがいよいよ教室内に組み立てられていく様子は、まさに圧巻と言うしか言葉がなくて。

ひとり、亜湖の隣で呆然と縁日が出来上がっていく過程を眺めていたわたしは、そう、感嘆の声をもらした。


「そうでしょう、そうでしょう。このクラスの本気は、ほかのクラスとは一味も二味も違うのよ!」

「うん。ほんと、すごい……」


学祭準備の様子を記録するのもわたしの担当だから、時間を見つけてちょくちょく写真を撮ったり、手伝えるところは手伝ったりもしていたけれど、こんなに本格的な縁日が出来上がるなんて、ちょっと想像していなくて。

みんなが学祭に向けてひとつになっているところを、もっともっと写真に収めておけばよかったと、感動を覚えると同時に、後悔の気持ちが沸き上がる。