百井くんがどんな答えを出すにせよ、わたしには、このカメラがある。写真がある。

だから、きっと大丈夫。

好きになったことに後悔はないし、気持ちを伝えたことにも後悔はない。

気持ちを伝えられる相手がいるだけで、それは奇跡。

だから、どうか実結先輩も、後悔だけはしない恋を。


「……よし、写真撮りに行こ」


もう一度カメラをひと撫でして、ぐんと足を前に踏み出した体は、今なら空も飛べちゃうんじゃないかと思うくらい、とてもとても軽かった。