食事が終わるとレオンはシェリルを抱き上げた。


「またレオン様はあの娘を抱き上げたわ」


家族連れの娘が苛立たしげに言う。


「あの子は足が不自由なのではないか?」


ドレスで隠れて見えないが、この場で抱き上げるのは不自然だ。



リストランテの出入口でシェリルは黒い毛皮のケープを店の店主に着せてもらった。


「ご馳走様でした」


自然とそんな言葉が出ていた。


「可愛らしいご令嬢でいらっしゃる」


店主が言うとレオンは何も言わずに待っていた馬車に近づいた。


ダーモッドが従者と一緒に扉の近くで待っていた。