「そうっすよ。あのモデルハウスは俺達の全精力を尽くしたんだから」

「デザイナーとして、これからも一緒に仕事しましょ〜って言いましょうよぉ〜」


「あのね…」


この子らは何処までご都合主義なんだ。
社長になった一ノ瀬圭太に、ハウスデザインをやってるヒマなんてない。

大体、あの家の図案だって本人が考えたものかどうかも不明だし、専務職を務めながら、そんなことまでできる余裕があったのかどうかすらも謎だ。



「月末の竣工式には来るんれすかね」


舛本君が不安そうに呟く。


「来ないと駄目だろ。それは」

「来て欲し〜よ。…ねぇ?大田さん」


「えっ、ああ…うん……」


ごめん、皆。
多分、その点を私が一番早く諦めてると思う。


「あの人、オレらに厳しい言い方をしたんらか来ると思うんらよなー」

「俺達が大田さんを支えてるかを確認しに来るぞ、きっと」

「じゃあ、今日も頑張らないとねぇ〜」


大きいこと言うようになったこと。
確かにあのモデルハウスに携わってからの君らは、頑張るようにはなったよ。


(その代わり、ここ最近の私はグダグダだなぁ)


モデルハウスの完成が近づくにつれ、毎晩のように夢を見る日が多くなった。

内装までは想像もつかないから、見る度に部屋の様子が違ってる。


昨日見た夢ではカントリー調の内装だった。
その前に見た時は、純和風な感じで落ち着いてた。