(いい加減に止めてよ。迷惑なんだから)


私にはそんな望みはこれっぽちもないし、彼には何かの思惑があるのだとしても、それを理解はし難い。


(全く。どれだけイジが悪いんだ)


感謝してたけど、急に損したような気分になった。
彼の言葉に感動しつつも落ち込んでた自分がバカらしくなってくる。


(そうよ、あいつは前からそんなイジワルだったじゃん)


甘い顔なんて見せなくて、いつでも自論を押し通して。


(今回のモデルハウス案だっていい例じゃない)


オプションをつけ易いように…と、極力間取りなんかも大雑把な感じで描かれてた。

資材部としては一番やり難くケースで、何処から着手すればいいかも謎な感じがする。



(それなのに「大変だぞ」とか言って。そんなの当然に決まってる!)


どれだけよ…と、ブツブツ独り言を言いながら腹を立てた。

それでもいつの間にか、やる気を駆り立てられてる自分がいる。

出来ないとは言わせないと言った一ノ瀬圭太の迫力を思い出して、(意地でもやってやる!)と胸に誓った。