「バカばっか言ってないで行くよ!」


ホントに何処までもつけ上がってくる。
このゆとりちゃん達はどうしてこのオフィスを選んだんだ。


(あれこれ考えたら頭にくる!)


この一週間も彼らのお尻を叩きながら仕事をさせた。
手綱を緩めると直ぐにでも気を緩めてやらなくなるから、常に様子を気にしながら仕事をしてなきゃいけない。

大事なアポ取りを忘れてたり、資材を運ぶ住所を間違って教えてたりして、やっぱり毎日残業続きだった。

おかげで一ノ瀬圭太との噂に振り回される暇もない程忙しくて、それだけはこのゆとりちゃん達にも感謝してる。


でも、今日のことは全部不安。
中学生のクラスを纏め上げるのよりも、きっと厄介だと思う。


(お願いだから、あいつの前では変なことだけは言わないでよ…)


祈りながらミーティングの会場へ出かけた。

私達が呼ばれたのは自社のモデルルームが置いてある住宅展示場で、平日が休みなのを利用して、その中の一室をミーティングルームとして使ってる。



「やあ、大田さん。久し振り」


販売部の岡崎部長が迎えてくれた。

パリッとしたスーツに身を包み、ワックスで固めたヘアスタイルも決まってる。


「ご無沙汰しております。岡崎さん」


肩書き名で呼ばなくてもいい…と言ってくれる辺りで主任よりも格が上だと思う。


「この三人が君の秘蔵っ子達?」