ケータイ小説 野いちご

君のまなざし

「じゃ、トレーニングの終わる頃になったら迎えに来ます」
と言って彼女は笑顔で去って行った。

柴田は出入り口までエスコートするように付いていきドアまで開けてあげている。

彼女が去ると声をかけに集まっていたトレーナー達も各々の持ち場に戻り、静かになる。

彼女を見送りフロントに戻ってきた柴田を捕まえ言ってやる。
「何?柴田の知り合いなわけ?」

「は?普通に笹森さんは会員さんだよ。ただ、祐也は小3から見てるからね。顔見知りのトレーナーも多いんだろ。もう中学生で会員歴が長いし」

それだけだよって言うが、それだけか?

「お母さん美人だったな」
と意味ありげに言ってやるが
「何、山口ってそういうこと言うヤツだったっけ?会員さんの親御さんだよ」
とサラッと返される。

「いや、柴田が妙に笑顔だったし、ずっと付き添っているし。お前のそんなとこ初めてみた気がする」
と言ってやるが、柴田はフッと笑っただけでもう話は終わりとばかりに
「明日の分の個人データを出しておくよ」とさっさとパソコンを打ち始めた。

そんなお前の態度が何だかもっと気になるんだけど。
少しいや、かなりもやもやとする。



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