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足が動かないシェリルは寝返りを打つことも出来なかった。


息苦しさを感じて目を開けると、隣にレオンの顔が間近にありシェリルは驚いた。


「どうした?」


どうやら眠ってはいなかったようだ。


「ごめんなさい……ずっとレオン様のベッドを取ってしまって……」


「取られていたわけではない。看病するのに都合が良かっただけだ」


レオンはシーツの上に片方の肘を付き身体を起こすと、シェリルを見る。


「もう大丈夫です……」


「何が大丈夫なのだ?」


シェリルの言葉が気に入らないとでも言うように聞いてくる。


「あたしを違う部屋にして下さい」


「何も出来ないと言うのに?」


目が覚めた時に聞いてくれた声とは変わり、不機嫌そうな声が聞こえる。


「……」


何も出来ないという言葉は、シェリルの胸の傷を深くえぐった。


目頭が熱くなったシェリルは泣かないように唇をかみ締めた。


暗闇の中だから自分の表情は判らないだろうと思った。


だが、次の瞬間レオンの長い指がシェリルの唇に触れた。