豪華な馬車に乗り、たくさんの家来を引き連れて、グラディス王女は旅に出られました。

行き先は勿論、レオノーラが妖精に出会った山のあるココアです。


煌びやかな王女の一行が出て行くのを、レオノーラはパメラやリュイと共に、街道の隅から見つめていました。


「パメラ様。私、あんな嘘をついてしまって良かったのでしょうか……」


レオノーラは真っ青な顔をしてパメラに聞きました。


「本当の事を言ったとしても、あの王女は妖精には出会えまいよ。それともお前は妖精との約束を破った方がよかったかい?」


レオノーラは迷いながらも、首を横に振りました。
お師匠であるパメラにすら、妖精の花の湖の場所は話していないのです。
いくら王女様であっても、言えません。


「王女が清らかで汚れがなければ、妖精の方から出てくるだろうよ」


「そうだよ。レオノーラが悔やむ事はないってば」


レオノーラの肩に座ったリュイが、小さな手で頭を優しく撫でました。