「た、たまたま思い出しただけだしっ」



恥ずかしくて、私はひとりスタスタと先を歩く。



「ふーん、たまたま、ね」


「そう!たまたま!偶然よ、偶然!」


「ククッ。じゃあ、そういうことにしといてやるか」



ニヤリ、と笑う大地を見て、カーッと顔が熱くなる。



「もう、大地のバカっ!」



大地の好物を覚えてたことをバレちゃうなんて、本当に恥ずかしい。



「わ、私、お肉選んでくるっ!」



そういい捨てると、私は精肉コーナーへ逃げるようにして向かった。


……あ。


テンパりすぎて、大地に何カレーがいいかまで聞くの忘れちゃった。


どうしようかな……。


ビーフは高いし、チキンにしちゃおうかな。



「あれ?美月ちゃんだ!」



お肉を物色しているところへ、声をかけられたかと思えば。



「こんなとこで会えるなんて、超偶然だね!つーか、運命?」



そこにいたのは、彼の必殺技、キラースマイルで微笑む三浦先輩だった。