──キャーッ!!



その途端、教室から沸き起こる悲鳴。


俺はそんなことお構いなしに、美月を抱えたまま教室をあとにした。


薬品の匂いがツンと鼻をさす保健室。



「あらっ!どしたの!?」



美月を抱えた俺を見て、驚きの声をあげたのは保健室の女の先生だ。



「それが、突然、倒れるように寝てしまって……」


「あら、大変っ。睡眠不足かしら……。悪いけど、そのままこっちのベッドまで運んでもらえる?」



50代後半の先生に言われたとおり、俺は3台あるうちの一番奥の窓際のベッドに美月をゆっくりと寝かせた。



「目の下にクマもできているし、もしかしたらずっと眠れていなかったのかもしれないわね」



……ずっと眠れていなかったって、もしかして、それって俺のせい?


俺が、美月の家で住むことになったから、そのせいで美月に精神的ストレスを与えてるとか?


急に不安と罪悪感が襲ってくる。



「そんなに心配しなくても大丈夫よ。次に起きたときにはきっと元気になっているはずだから」



俺がよっぽど不安そうな顔をしていたのか、先生は俺を安心させるような柔らかい口調でそう言った。