しばらく甘い空気の中口付けを続けた私達は、お互い照れながら身体を離した。

「折角買ってきてくれたご飯、食べよっか?」



木崎君は伸びてしまったナポリタンを「江藤の初手料理だ」と喜んで、美味しいと連呼しながら平らげた。
私は29回目にして人生で初めて、サンタさんもツリーも乗っていない誕生日ケーキに感動して食べた。

クリームコロッケもグラタンも、ペットボトルの紅茶も、サンタさんの乗っていない誕生日ケーキも。
なんで木崎君には私の欲しいモノが分かるんだろう?


本当に不思議で訊ねると、木崎君はニカリと得意げに笑った。


「俺は江藤のサンタさんだからな。」