「やっぱ、ありえねぇって。俺はともかく、そんなの美月が絶対嫌がるに決まってる」



男の俺でさえそう思うんだから、美月なら尚更、納得するはずがない。



「じゃあ、大地は、美月がひとりで住んでるときに、何か危ない目にでもあってもいいんだな?」


「は!?そんなのいいわけねぇだろ!!つーか、だったら美月の家じゃなくて、うちに来てもらえばいいんじゃないの?」



美月だって、ふたりきりで住むわけじゃなく、気心が知れた俺の家族も一緒なら安心するかもしれない。



「もちろん、うちに来てもらうことも考えたよ。だけど、うちはマンションだろ?美月に一部屋貸してあげられるほど部屋数もないんだよ。さすがにおまえたちを同じ部屋に住まわせるわけにはいかないしな」


「……」


「なぁ、大地。美月のボディーガードにでもなるつもりで、ここはひとつよろしく頼むよ」



そう言うと、俺に頭を下げてきた親父。



「……ったく。わかったから、だからもう頭あげろって」



美月が危ない目にあうくらいなら、同居でもなんでもして俺が美月のことを守る。


たとえ、どんなに美月に嫌がられたとしても。


そう覚悟していただけに、まさか、美月がこんなにもすんなりと同居のことを受け入れてくれるとは思ってもみなくて、俺はもちろん、お互いの両親たちも拍子抜けするくらいだった。