ゆりが片方の手を握って、もう片方の手は宙をさまよっている。


お父さんの手……やけに白いな。


こんなに白かったっけ?


こんなにむくんでたっけ……?


こんなに……弱々しかったっけ?


手を伸ばそうとしてみても、体が鉄のように固まってしまって動かない。


行き場のないお父さんの手を見ていると、涙が溢れそうになった。


握り返してあげたいのにーー。


どうしても……体が動かない。


なんで……?


あたしって、どこまで薄情な奴だ。


あんなに好きだったお父さんなのに……。


でも、どうしても出来なくて。


「お母さんが……握ってあげた方が喜ぶよ」


そんな風にゴマかした。