人はどうして、失った時に本当に大切なものに気付くんだろう。
手を伸ばせば届く距離にあるうちは見えないのに、なくなると途端に光り出して見え始める。
もっと早くに気付くことが出来たならーー。
こんなに後悔することはなかったのかな。
脳裏に焼き付く眩しい笑顔。
苦しい時、楽しい時、嬉しい時、悲しい時、頭を優しく撫でてくれるゴツゴツした大きな手が大好きだった。
手を繋ぐと不恰好で、あたしの小さな手じゃあなたの大きな手を握り返せなかったね。
だからいつも、あなたの親指をギュッと握ってた。
優しい温もりに包まれて、いつも笑っていたような気がするよ。
思えばあたしは、大きな愛に包まれていたんだね。
そばにいた時は思いもしなかったことを、どうして今さら思い出すんだろう。
こんなにも胸が苦しくて、涙が溢れるのはどうしてかな。
もう一度だけーー
あなたに、会いたい。