絢香さんは自分の聖夜に対する思いを、延々と話し出した。


すごい、3才の時から聖夜がずっと好きだったと言う。


「絢香は嘘つきだな。絢香はずっと彼氏がいただろうが。」


嘘、そうなの。


あれは聖夜が無視するから、仕方なく付き合っていたのだと言うけど。


そんな中途半端な気持ちで付き合えるものなのだろうか。


私には理解出来ない。



「聖夜は本当にそのおばさんが好きなの。加奈子さんに振られたから、やけになってるんじゃないの。」



え、本当なの。



もう、誰も信じられない。



「絢香、いい加減にしろよ。俺は加奈子に告白されてなんとなく付き合ってみたけど、美莉は俺がはじめて惚れた女なんだよ。」


そうなの。


聖夜はたくさんの恋愛をして、たくさんの女を泣かせて来たと思うと。


そのことばを信じて良いのか、悩む。


私は自分に自信が持てないから、どうしていいのか分からなかった。


「こんな鈍感おばさんのどこがいいの。見た目もお粗末だし、暗いし、地味だし。聖夜の彼女がおばさんだなんて、認めないから。」


別に絢香に認めて貰わなくていいからと。


うつむいたままの私の顎を持ち上げて、聖夜が私にキスをする。


ちょっと、なにする気。


こんな人前であり得ない。


絢香さんの顔が怒りで真赤。


今にも爆発しそうな火山だ。


「俺は美莉のこういうとこが好きなんだ。どんかんでどしで、そのくせ短気で、そこが又可愛くてたまらない。」


それって、誉めてる?


まぁ、良いけど。


可愛いと思われてる事は、とにかく嬉しい。


まだ、加奈子さんの事には触れてないし。


聞きたいような、聞きたくないような複雑な気持ち。