こんな生活が10年続いた今は、一人で過ごす寂しさなんてない。




そんなことを考えながら、机に向かい参考書を開いたときだった。



ドスッ、ドスッ、ドスッ……。



荒々しく階段をのぼってくる音がする。


またか……。


思わずぎゅっと拳に力が入る。

震えているのをまぎらわすために指が食い込むほど握る。



バンッ……、と扉が開き入ってきたのは、隣の家の幼なじみの池田龍(いけだりゅう)だ。



髪を明るい金髪に染め、ピアスを開けおまけに態度がでかい。


小さい頃は、

『みあちゃんあーそぼ♪』


と、可愛らしくいい子だったのにいつのまにかこうなってしまった。


最近では、ヤクザの下っ端のグループに入れたとかで喜んでいた。


「100円ショップに行くって行ったわりには遅かったじゃねーか」


龍の顔が早くも怒りで歪んできてきている。