~未愛の日常地獄~
怜央と別れ、家に帰ってきた。
『未愛か、、、可愛い名前だな』
『お前の髪は、、、触り心地がいい』
さっき怜央に言われた言葉を思いだしカァァ……ッ、と顔が熱くなる。
も、もおっ……!
なに思い出してんのよっ。
「ただいま」
もちろんそれに答えてくれる人はいないが、言うと落ち着くのである。
私が、7歳の頃。
お母さんが交通事故で、亡くなった。
父はまだ幼い私を残して家を出た。
『お母さんっ、お母さんっっ……。うぅ……ひっく、ぐす……』
取り残された大きな家で毎日仏壇の前に座っては泣いていた。
泣いたところでお母さんが戻ってくるわけでもないのに、ただひたすら涙が溢れ、お母さんと呼び続けた。
今に至るまでお父さんは一度も帰ってこなかった。