「えっ?」


 勢いあまってバランスを崩しながら、彩は振り向く。
 女は彩のことなどまるで気に掛けてないとでも言うように、真っ直ぐに悠を狙った。


「悠っ!!」


 いきなり目の前に現れた女の攻撃に弾き飛ばされる悠。
 諒が素早く動き、コンクリートの壁に激突する寸前で悠を受け止めた。


「すまん」
「どうってことない」


 女は顔色一つ変えずに、宙に浮いたまま悠達を見下ろしていた。
 悠は舌打ちをする。
 確かめなくてもわかる。
 前に戦ったときよりも・・・あきらかに、格段にパワーが増している。
 今のは消えたのではなく、見えなかったのだ。


「早かったな、動きが」


 悠の言葉に、諒が頷く。
 敵は十分に“あちら”で力を 補充してきたのだろうが、こっちはそれがまるで出来ていないのだ。


「二人とも避けろ!」


 彩が女の後ろから攻撃する。
 悠達はその場を飛びのいたが、女はそれを避けようとはしなかった。