それにまた少し、悠たちの世界のことが解ったような気がした。
 不思議と、怖いというよりも少しだけ嬉しいという気持ちも湧いてくる。


「とにかく今は、店に帰ろう」


 悠はそう言って、美樹を抱き起こした。


「ホントに・・・大丈夫だから」


 美樹はそう言って自分で立ち上がろうとするが、自分で思っている以上に身体が動いてくれず、足に力が入らない。


「無理しなくていいよ。力を使った後は想像以上に体力を消耗するものなんだ」


 悠の言葉に、美樹は首をかしげる。


「力、って?」
「まぁ・・・偶然、だろうけど・・・」


 何故か少し、歯切れのよくない悠の言葉。
 でもまだ本当に確信はないんだ、と悠は付け加えた。


「美樹ちゃんが俺たちのことを呼んでくれたから、帰って来れたんだよ」
「ううん、彩が頑張ってくれてたから・・・彩、大丈夫なのかな」
「大丈夫だよ。生きてる」


 ただ生きていればいいってものではないと思うが。