ケータイ小説 野いちご

不透明ヒーロー





「それと今度から登下校も別にしようってなったんだ。あ、でも振られるのはわかってたから大丈夫」

「白崎」

「隠してたつもりだったんだけど、さすがに藤田くんには気付かれちゃったね」


気持ちを押し隠すようにだんだんと下を向きながら、早口になっていることはわかっている。

でもそうでもしないと気が緩んで涙がこぼれ落ちそうだった。


「無理しないでいいよ」

藤田くんの優しい声音が逆に痛くて、目を細めて視界を隠しながら笑ってしまう。


「無理なんてしてない……よ」

あれ、おかしいな。

椅子に座っているはずなのに、足場がぐにゃりと柔らかくなってしまったみたいに感じて視界が白く光って歪んでいく。


呼吸が上手くできない。吐き気が押し寄せてきて、ズキズキとこめかみ辺りが痛んでくる。



手を伸ばそうとしても上手く伸ばせなくて、身体が後ろに傾いていく。



「白崎!!」

藤田くんの叫び声が聞こえたところで、私の意識は途絶えた。






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