そんな諒の目の前のカウンターに陣取り、目をハートにキラキラさせている女子高生が何人か。


「・・・ま、いっか・・・」


 ここまで来ると、もうツッコミを入れる気にもならない。
 店は儲かるんだし、見ていてこっちも楽しいし。


(ん? 楽しい?)


 いつの間にか、こんな生活を楽しいと思う自分がいることに、美樹は気づいた。
 中川美恵子との出会いで、夢のお店を手に入れたが。


(そっか・・・)


 フルーツパフェを綺麗に盛り付けながら、美樹はくすっと笑う。
 たったひとつだけ、叶わなかったもの。
 今は、もう。


(わたし、寂しくないんだ・・・)


 出来上がったパフェを見つめながら、美樹は目を細めた。



☆  ☆  ☆



 夕方近くなり、お客さんも一段落した頃。
 なかなか繋がらない電話の受話器を、美樹は軽いため息とともに置いた。


「中川の婆さん?」


 いつのまにか、彩が後ろに立っている。
 美樹は頷いた。