はぁ。

何で私も言われるがままに隣に寝てるんだろう。

断れば良かっただけの話なのに。



意気地の無さに泣けてくるよ、ったく。



「はぁ。悪魔は凄いねぇ」

「人間は非力な生き物だな。睡眠をとらなくちゃ生きていけないなんて」

「それは……人間だけじゃないよ」



命あるものはみんなそう。

それが自然の摂理なんだよと教えてあげると、アーラは不満げに眉を寄せた。



「へぇ、つまんねぇ生き物。悪魔の方がよっぽど楽しいと思うけどなぁ」

「そうなんだ……」



悪魔が楽しい、ねぇ。

確かにそうかもしれない。



その翼で空も舞えるし、自由に変化できる。

それはきっと悪魔にしか出来ないことだもんね。



「どうだ?お前も悪魔にならないか?そしたらもう、死の恐怖に怯える必要は無いぞ?」

「いや……遠慮しておくね」



冗談じゃない。

次咲くんの本に書いてあったもんね。



悪魔の誘いには絶対ノッたらいけないって。