『お前、何考えてるか分かんねぇな』




また、言われちゃった。




そして、その言葉で思い出すのは、現代の記憶。




『千里ちゃんって、何考えてるか分かんないよねー』




何人もの人に言われた言葉。




でも、何も考えてないわけじゃないんだよ。




どう言えば、正解になるのか探してるの。




あの時、なんて言えば正解だった?




何が間違いだった?




きちんと正しい言葉を選ばないと私は―――




「……たり、佐渡!」




「えっ……」




名前を呼ばれ、ハッと我に返った瞬間




―――ガシャンッ!




手に持っていたお皿を落としてしまった。




「いっ……!」




そして、破片で指を切ってしまった。




「大丈夫か?!」




そう言って、すぐに手を取ったのは山崎さんだった。




あれ、私、今何して……




「血が出てきたな……

 気をつけて洗わないとだめだろう!」




あ、そうだ。




私、山崎さんと一緒に夕飯の食器を洗ってたんだった……




「すみません……」




「皿洗いが終わったら、すぐに手当てをしてやるから、それまでこれで押さえていろ」




そう言って、山崎さんは私に手ぬぐいを渡してくれた。