「おはよう。」





『おはようございまーす。』





翌朝の回診に早川先生と病室に行き、挨拶をすると、相変わらず元気に帰ってくる返事。





私たちは順番に4人のベッドに向かった。



  

良子ちゃんは幸治さんの診察を受けていて、カーテンが閉められたまま。





何か返事はしているようだけど、幸治さんの問い以外の声はしない。



  

「足首の痛みはどう?夜になると痛むんじゃない?」





悠斗くんのベッド沿いの椅子に腰を掛けた早川先生が、聴診の後に足首と手首の様子を見ながら尋ねる。





「はい。でも昨夜は痛み止めをもらったので、痛みはすぐに引きました。」





 
受け答えのしっかりした口調で話す悠斗くん。






「熱が出ることもあると思うから、その時はすぐに言ってね。我慢しないようにね。」






優しく早川先生が声を掛ける。






診察が終わろうとしている時、悠斗くんの顔はどこか落ち着かない顔。






何か聞きたいのかな?





「悠斗くん、何か聞きたいことでもあるんじゃないの?」





そんな悠斗くんの顔を見ていると、つい声をかけてしまった。





その私の言葉に、早川先生が椅子に座りなおして、悠斗くん見る。






「あの・・・・・・、





僕っていつ退院できますか?」






やっぱり。皆より明らかに退院が遅いことは分かってたよね。





「悠斗くんの退院はね、すぐにって訳にはいかないんだ。






このまま骨折した骨の回復を病院で見て、無事に回復してきたら、リハビリ。






そのリハビリ途中に、家での生活が可能になれば退院だよ。






だけどリハビリに通ってもらうことになるよ。」






「リハビリ・・・・・・。」





悠斗くんの中で、リハビリのために入院して、退院してからもまだリハビリが続くとは思ってもなかったようだった。






悠斗くんは、それ以上聞くことはなかった。