襖の奥には、直樹さんと同じ年代くらいのお二人がこちらを向いて立っていた。


「これは、これは。遠いところからわざわざお越し下さいまして、ありがとうございます」

女性が俺たちに声を掛けてくれた。

「今日は、お忙しい中時間を作って頂きありがとうございます。私、白井病院の院長を勤めております、白井拓海と申します」

「藤宮コーポレーション会長の藤宮直樹と息子で社長の裕樹じゃ」

「結城航と、妻の智子になる。華道の家元をしております」

お互いの自己紹介が済んだ。


「まぁ、堅苦しい挨拶はこの辺で終わりにしようかの。どうぞ気楽にお座りください」

そう言って、用意されていた座布団へ座るように促された。

「それでは失礼しようかの」

そう言って直樹さんが腰かけて、俺と裕樹も隣に座った。


正面にはあの有名な結城会長だ……

緊張しないわけ無い……

「この家に活けられている花は結城さんが活けられておるんですか?」

直樹さんは物怖じする事なく話しかける。

「あぁ、家の花たちは、妻の智子がやっておるんじゃ」

「智子さんもお上手ですな」

「あら、お褒め頂きありがとうございます」

3人は普通に世間話を始めた。

拓海side end…