トラックはまだ来ていないから今から行けば……駄目だ、今日はパンの日じゃない!ごはんの日のトラックには入れない、箱が多くて入れない!門番を倒すのも一人じゃ無理……

裏山から行くしかない。

傷だらけになっている沢野さんが山を越えられるかが心配だけど……
裏山の草をかき分け、沢野さんと一緒に山に入る。草が生えている所を抜ければ岩が多い急な斜面になっている。そこを落ちないようにゆっくり歩く。そのとき……

「いたぞ!」

あいつの声だ!後ろを見るとまだ距離はある。私はジャージの上を脱ぐ。

「これに座って!」

最初は遠慮していたけど、早くしないと捕まると言って座ってもらう。

「怖かったら目瞑って!」

きっと、ジェットコースターと同じくらい怖いから。

沢野さんの手を引っ張り、山を滑る。ただ前だけを見て滑り下りる。もうすこし、もう少しで……


「捕まえた」


心がヒヤリとした。そして、次の感情は絶望。抵抗もできないような強い力で抑えつけられた。