着いたのは使われていない教室。



着くなり壁際に追い込まれてしまった。



そして、私の背中には壁。顔の両隣には涼介くんの両手。


目の前には涼介くんの顔。





「りょ、」



「お前なんなの?」


余裕のない声、余裕のない表情。


涼介くんらしくない。



「…ぇ?」




「お前が好きな奴は誰だよ?」



怒ってるような、切なそうな表情に目が離せなくなる。



「りょ、涼介くんです。」



「…お前は俺のことが好きなのに他の男にしっぽふるのな。」



「………そんなこ、とっ」






「ムカツク。」






そんな言葉と同時に、私の唇に触れた柔らかいもの。






「っ、」


近づいてくる瞬間とか、触れる瞬間なんて全く把握出来なくて、気づいた時には唇に感触があり、私の視界は焦点の合わないほど近い涼介くんでいっぱいになった。



鼻を掠める香り。



理解なんて出来なくて、頭が真っ白になる。