お弁当箱を持つ手を辿り、顔を見るなり、私は思わず口に手を当てた。

「…これ、誰の?」
「…えっと」

貴方のです。なんて、なんだか言えなくて。

「…本当に、食べてもいい?俺、腹ペコなんだよな」

「…」

答えない私を見て、三枝課長は少し困ったように眉を下げた。

「…ダメなら返「いい!」

「…は?」

私の発言に、三枝課長はポカンとする。

「食べて下さい!…ぜひ」

語尾は、すこぶる小さくなった。

それに目を丸くした三枝課長だったが、次の瞬間には、クスクス笑っていた。

私の顔は、思わず赤くなる。

「…これ、俺の為?」

目線は逸らし、小さく頷く。

すると、三枝課長はクスッと笑って、私の頭をポンポンする。

必然的に、私の顔は更に赤くなる。

「頂きます」
「…ど、…どうぞ」

…三枝課長は、美味しそうに、お弁当をペロリと平らげてしまった。