さすがにもう一人は慣れたと思ったけどやっぱり落ち着かない。


買い物帰りに見る景色は一翔と最後に会った日のことを鮮明に思い出させた。


最期に会った公園。


夕方の5時ごろなのか遊んでいた子供たちはそれぞれ片づけて楽しそうに帰っていく。


私はブランコに乗り、夕焼けの空を見た。


雨が降ったらなと思いながら。


そっと公園を通り過ぎた人をふと見る。


見慣れたパーカー、金のブレスレット。


「かずと?」


私は荷物を置いてその人のもとへと走った。


「一翔!ねぇ!」


聞こえるように叫んで、叫んで、少しでも届くように…。


だけどその人は振り返らずに見知らぬ女性と手をつないで歩いて行ってしまった。


『一翔さん女性と一緒に居たよ。』


知りたくなかった。聞きたくなかった。嘘だと思いたかった。


だけど、現実は、現実だった。