手首に激痛を覚え、目を覚ますと、畳の上にいた。
浅葱色の羽織を見たあと、どうやら気を失っていたようだった。

こうしているうちにも手首は痛い。
それもそのはず。縄できつく縛られていたのだ。


「入るぞ」
ぶっきらぼうな声が聞こえ、そちらを向いた。
「はい」
すぐに麩が開き、花織の視界には、茶色い縁側、趣のある日本庭園、そして、まつげが長くて鼻が高い、いわゆる"しゅっとした"男性の姿が映った。

「目が覚めたんだな」
確認するように男性は呟いた。
「聞きたいことがある。ついてきてもらえるか?」
そういいながらも、この男の顔には「早くしろ」と書いてある。

花織は返事をしてから、男性の後について行った。