「主任!また放火です」



「…………」



これは嫉妬?

いや、違う。

何故か顔も知らない電話の相手に、この私が怯えてる。



「――姉貴!!」



「ごめん!;;」



斗真に呼ばれ、慌てて顔を上げて謝った。

しかし、斗真は怒り顔を私から背け、斗志樹に「放火です。七星と出動します」と言って、出て言ってしまった。

私を呆れたように見ながら、黒いファイルに何かを書き込んでる木村さん。



「主任。ちょっと」



「……はい」



斗志樹に呼ばれ、課長室に入る。



「何があった」



仕事モードの顔。

だけど優しい声に心を持って行かれる。

電話の事を話すと、斗志樹は首を傾げながらも何か心当たりが浮かんだのか、目をパッとし、どこかを見つめて考え込んだ。



「お知り合いですか……?」



「……いや。そこまでではない筈だ」



「それはどういう……」



「逆探知したデータ出せるか?」



「えぇ、まぁ……」



デスクに行き、データを印刷。

すぐに斗志樹に見せに行くと、何やら手帳を見ながら「間違いない」と言う。



「良いか?よく聞けよ」



「…………っ、」



「俺とは関係ない。確かに名前は知ってるが、俺の昔のツレでも何でもないから、話せる日まで待っててくれないか」



「……うん」



斗志樹が言うからには信じるつもり。

だけど胸の詰まりはなくならない。