「急ですまないが、黒田君も愛依もよろしく頼んだよ」



「はい」



「了解しました」



クールビズも終え、スーツへと戻った初秋。

気付けば秋が目の前に迫った9月最終日、出勤して間もなく坂田署長に呼ばれた。

今日から1週間、本庁より監査が入るようだ。

誰が来るとは言わなかったが、どうやら私を見に来るようだ。

まだ他からすれば若手の私が、代理でも課長として務まるかどうか。

主任という立場も、他からクレームでも出てるのかも知れない。

署長に頭を下げて、斗志樹と課へと向かう。



「おはよう」



「おはようございます。難波主任」



「……本庁の方ですか」



斗志樹と課長室の前で別れてフロアーに入ると、斗真の横の空きデスクに腰掛けてた人が立ち上がった。

私の問い掛けに頷きながら、正面のもう1人を立たせた。



「本庁の捜査一課から参りました、田辺-タナベ-といいます」



「同じく木村-キムラ-です。よろしくお願いします」



歳は私と同じ位か、偉ぶれた様子もなく頭を下げた2人。

しかし、監査役には変わりない。



「おい。朝礼」



「今から始めます」



斗志樹が課長室から出て来た為、頭を下げてデスクへと行く。

鞄を置き、朝礼を行う。

今日の予定などを確認し合い、業務に就く。