「離れても、大丈夫なのようになる」



「少し位は寂しがってくれた方が良い」



「何かあったら、すぐに行く」



「山下を、一人前にしないとな」



「でも、代理にしかならない」



「何で」



「斗志樹に戻って来て欲しいから」



「正式に決まってねぇだろ?強がっても鼻水垂れてる」



「……煩いっ!」



鼻水をティッシュで拭われながら、斗志樹の首から指輪を外した。

それを右手の薬指に嵌めると、ピッタリだった。

小さな運命。



「早く指輪ちょうだい」



「そうだな。考えとく」



「や、まぁ良いんだけど……っ」



4月までに、2人の気持ちをがっちりと固めて。

離れても何も問題ない2人になろう。



「痛い……;;」



「……ゆっくりしとけ;;」



お互いに顔を近付け、キス……って時に首に痛みが走った。

顔の向きを変えたのが悪かったようだ。

しかし、真っ正面から突っ込む事は出来ない。

諦めて、ガーゼの上からそっと傷口を優しく撫でながら横になる。

ぶっきらぼうに握られた手を握り返すと、枕に頭を乗せて来た。

横を向けないのが残念ながら、またしても子供のように早々と眠りに就いた彼の寝息にホッと心が安らいだ。

離れてしまったら、こんな時間はなかなかなくなる。

だけど、きっと乗り越えられる筈。

斗志樹が生きてくれてるからこそ。