「なんなんだよ!この汚さは!」




体が震える。





急いで来てたんだもん、とは言えず。



「ごめんなさい…」



としか言えなかった。




「まぁいいや。問題は あ、じ!


味だからな!」




ドキリ。




急いで作ったから味に自信なんてない。



ぱく。

もぐもぐ。




味は………………。














「くっそまずい。なにこれ?」







あぁ、もう、顔が良いからってなんでも言い過ぎ。心が持ちそうにない。

私、不器用。
私、朝弱い。
私、カレシ初めて。


色んな思いが交差して………





「っふ……っぐ…」




いつの間にか涙が溢れ出す。



「お、おい……」



健一郎が、アタフタする。


「…ひっく、だって朝弱いんだもん、でもちゃんと目覚ましかけたもん」




あーぁ。泣いてしまった。でももう止められない。





顔を塞いで大泣きする私の頭になにかが触れる。




「泣くなよ…。悪かったから」





頭をポンポンとやってくれている。







なんだよ。優しいじゃんか。




こういう時に優しい一面見せんなよ、バカ。



なんだか悔しくなって、もっともっと泣いてやった。




こんなんで、偽りカレカノの日常が過ぎていった。