「おい、コラ」





「はい…………」






「もっとこっち近づけバーカ!バレるだろって!」




そういわれても……




私と彼の距離は3メートル弱。彼が怒るのも納得出来る。



しかし、私の心はもう立ち直れそうにない。




全ては健一郎のせいだ。





死ね!!!!と言わんばかりに睨む。
とは言っても原因を作ったのは私。
「恋がしたい」
なんて言ってしまったのが間違いだった。


「弁当。」



「なんですか、弁当って。」




反抗出来るようになった。


「あ?なんだって?」


この人、モテるくせに性格はクッソ悪い。多分ナルシスト。




てゆーか、未だに怖い。




「…明日からでもいいですか」




「………おう」



あれ?可愛い反応。


「もしかして、女の子から弁当もらうの初めてですか?」




図星なのか分からない。だけど、耳が真っ赤だ。可愛い発見。



「っせーな。いいだろ、別に」




ちょっと和む。

和むのもつかの間。明日のことを思う。



明日から、かぁ。

朝、弱いのになぁ
心の中で思うのは後悔のみ。


健一郎にどこまで振り回されるのかな。



冒険みたいで楽しいと思う自分と、これからどうなってしまうのか不安な自分がいる。



『偽りの彼女』だけど…………




好きになってたらどうしよう、なんて。



「そんなわけないよねーー!」




「あ?うるせーよ」




声に漏れてた。危ない。




第一、健一郎の性格だったらまず好きになれないな、と自分を説得。








とりあえず、明日から頑張ろう。


そう、心の中で決めたのだった。